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たった「15坪」だけど心地よい。 そんな、小さな家の物語。

 

 

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 Mさんは職場の広報誌にこんなコラムを寄せました。「小さな小さな家を建てた。豊かな今の時代、あえて小さな家に住む事に意味があると思い、その可能性を楽しむ事にした。住まいに対する価値観は十人十色で、住みよい暮らしの尺度もその家族によりさまざま。なるべくモノを増やさず、最小限のライフスタイルを送る事に決めた私の方が、一般的ではないのは当然。だけど、自分たちらしい『豊かな暮らし』とは何かを探しながら、暮らしていきたい。(抜粋要約)」
 今日も2階はサッカースタジアムになりました。「父ちゃん、シュートいくよ!」と長男が叫んだ次の瞬間、次男の泣き声が炸裂。接触プレーで転んでも泣かないのに、シュートチャンスを兄に取られた時は悔しくて泣く。それはそれは大きな声で…。父ちゃん、母ちゃん、兄弟も皆、汗だくです。2階の床面積は38.92㎡(約11坪)と一般的な住宅に比べると小さいが、個室を設けていないため、2階がまるごと大きなフリースペースになっているのです。
 1階も同様に壁がなく、開放的なワンルーム仕様。そう、Mさんの家は小さいだけじゃなく、個室というものが一切ない事も大きな特徴。1階から2階まですべて一続きの空間なのです。「どこに居ても、家族の声や気配が伝わってくる家にしたくて」。その思いを追求していったら、家の中にドアは必要ありませんでした。「夫と言い合いをした時などは、1人になれる場所がないから気まずいのだけど。(笑)でも、なんとなく仲直りするのも早いかな」と奥さん。
 床、天井、階段。いずれにも無垢のマツ材の風合いが活きた室内はとてもシンプルです。テレビ台すらないし、キッチンの収納スペースも驚くほど少ない。でもMさん家族にとっては、これがぴったりなのです。「食器類でも何でも、お気に入りの最小限のモノだけで暮らしたい」。そんなライフスタイルが先にあるから…。
 15坪ハウスは確かにコンパクトだ。しかしその中には、Mさんが楽しみながら探していくという、「豊かな暮らし」が無限に詰まっています。

帯広市・Mさん宅 家族構成/夫婦、子ども2人
施工/(株)大野建設

■建築データ

□構造規模/木造(枠組壁(2×6)工法)・2階建て
□延床面積/90.6㎡(約27坪)

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